単語の意味を確認しよう
まずは、直帰率・離脱率の意味を確認しましょう。
意味 | 対象 | 計算 | PV数 | |
---|---|---|---|---|
直帰率 | 1ページだけで離脱した割合 | ページ・サイト | 直帰数/セッション数 | 1PV |
離脱率 | そのページで離脱した割合 | ページ | 離脱数/そのページのPV | 1PV以上 |
アクセス分析で言えば、「直帰率 = サイトを巡回してもらえなかった率」であり、「離脱率 = サイトを離れるきっかけとなった率」と言えます。
正しい直帰率を抽出して問題を探そう
まずは直帰率から見ていきましょう。先ほど挙げたように「直帰率 = サイトを巡回してもらえなかった率」ですので、「巡回してもらうためにどうするか?」のヒントとなる数字を出します。
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールでよく見る直帰率は「サイトの平均直帰率」です。月間数十万UUクラスのサイトでない限り、サイトのアクセス解析においてはイラギュラー値が平均値に与える影響が大きいため、あまりあてになりません。大事なのは中央値です。
直帰率の中央値を出そう
直帰率はコンテンツの性質によって異なるため、ページのカテゴリごと(ECサイトなら商品ページ、一覧ページ、カートなど)の直帰率の一覧を抽出します。
例えば、商品ページの直帰率だったら、
ページ | PV数 | 直帰率 |
---|---|---|
/items/1/ | 15 | 85% |
/items/2/ | 10 | 65% |
/items/3/ | 8 | 55% |
/items/4/ | 5 | 85% |
/items/5/ | 2 | 65% |
このような一覧を出します。
この場合、平均値は「(0.85 + 0.85 + 0.65 + 0.65 + 0.55)/5 = 0.71」なので71%です。一方で、中央値の場合は「データを大きい順(または小さい順)に並べたときの真ん中の値」なので65%です。数値が6%も違います。
同じことをページジャンルごとに調べましょう。今回は、仮に下記のような数字だったとします。
カテゴリ | PV数 | 直帰率の中央値 |
---|---|---|
/items/ | 40 | 65% |
/list/ | 20 | 35% |
/brands/ | 10 | 55% |
/cart/ | 2 | 5% |
ちなみに、この4つのカテゴリの平均直帰率・中央値共に40%で「一般的なWebサイトの直帰率」に相当します。では、このサイトの直帰率は問題ないのでしょうか?
直帰の原因を推測して大きな問題を探す
今回の例でいうと、商品ページとブランドページの離脱が目立ちます。一方で、直帰率が低い「一覧ページ」は「一覧の中に、目当ての商品があった」と考えられますし、「カートページ」はそもそもカートにいきなりランディングすることはレアなので直帰率が低いのは当然です。
そう考えると「サイトの直帰率」として問題があると見るべきは商品ページとブランドページとわかります。この二つで見ると中央値は60%で、先ほどの4カテゴリの直帰率の中央値である40%よりも大幅に高いことがわかります。また、商品ページはPV数も多いため与える影響は大きくなっています。
「サイトを巡回してもらうためには、商品ページの改善が必要」と考えるのが妥当でしょう。
問題カテゴリの直帰率を見直そう
さて、商品ページの直帰率が問題だとわかったら、再度商品ページの直帰率を見てみましょう。
ページ | PV数 | 直帰率 |
---|---|---|
/items/1/ | 15 | 85% |
/items/2/ | 10 | 65% |
/items/3/ | 8 | 55% |
/items/4/ | 5 | 85% |
/items/5/ | 2 | 65% |
中央値は65%、最低値は55%ですから、問題が多いのは「/items/1/」と「/items/4/」だとわかります。特に「/items/1/」はPVも多いので問題がありそうです。
問題を特定する
ここまできたらアクセス解析の世界はおしまいです。「/items/1/」と「/items/4/」の直帰率が高い原因は数字だけでは解を出せません。
考えられる原因は、
- 商品の在庫がない
- 商品の価格が高い
- 目的の商品と違う
などでしょう。
どれもアクセス解析の数字とは関係ないところが原因なので、類推して改善をします。改善をしたら数週間から1ヶ月後くらいに直帰率が改善されたかを確認して、トライ&エラーを繰り返しましょう。
離脱率を活用しよう
続いて意外と使いにくい離脱率です。直帰率と違って範囲が広く変数が多いため「離脱率の平均・中央値が高いからXXだ」という単純な解決方法ではあまり使えません。
離脱率が使いやすいページジャンル
離脱率を利用しやすいのは、
- カートページ
- 会員登録ページ
- 問い合わせページ
- 分割した記事ページ
などのゴールが明確なページです。
これらのページは、ゴールが決まっていてそこに向けて段階(ページ)があるので、どこで離脱しているのかを調べることによって、問題をあぶりだすことができます。
離脱率と別の数字が必要なページジャンル
一方で、離脱率単体では問題抽出がしづらいのが、
- 商品ページ
- 一覧ページ
- トップページ
などです。
商品ページは「在庫がなくて離脱したのか」「あとで買うからブックマークやSNSで保存だけして離脱したのか」でも意味が違います。一覧ページは「目ぼしい商品がなくて離脱したのか」「表示が遅くて離脱したのか」でも意味が違います。
これらのページは、離脱する状況などの別の変数も絡むため、離脱率だけでなくクリックイベントや表示速度などの別の数字と組み合わせて分析をする必要があります。
離脱率の数字がわかりづらい場合はデータを変えよう
例えば、カートの場合、通常は、
- ログイン
- 送り先入力
- 決済方法選択
- 配送方法選択
- 確認ページ
- 注文完了
というステップを踏みますが、最近はページ遷移時の離脱を減らすために「送り先入力 -> 決済方法選択 -> 配送方法選択」のステップをまとめることがあります。カートではこの3つのページが離脱を生むことが多いので、一つのページになっていると問題がわかりづらい可能性があります。
そうした場合は、「送り先入力&決済方法選択&配送方法選択」ページの中でデータを取得します。Google Analyticsでしたら「イベント」でデータを取るのも良いですし、「目標到達プロセス」という便利な機能もあります。
サイトの改善に効果的な直帰率・離脱率の抽出方法をみてきました。
データの使い方はサイトによって違うので、直帰率・離脱率の出し方や、平均値や中央値の使い方をマスターして、より正確なアクセス解析をしてみてください。